
2025年7月の参議院選挙で大敗を喫した自民党は、党運営の中枢を担う「党四役」が相次いで辞任の意向を表明する異例の事態となった。党内外で政権運営への信頼が揺らぐ中、石破茂総裁(首相)の進退や後任人事が今後の焦点となる。
■ 辞意を示した党四役
- 森山裕 幹事長
「選挙結果の責任は重い」として、進退は石破総裁に一任すると発言。党の実務を仕切る幹事長の辞任は党運営に大きな影響を及ぼす。 - 小野寺五典 政調会長
政策立案を担う立場として「信任を失った」と辞任の意向を示した。 - 鈴木俊一 総務会長
「我々にも責任がある」と述べ、党内の意思決定を担う役職を退く姿勢を明確にした。 - 木原誠二 選対委員長
選挙戦略の責任者として敗北の責を認め、辞任を申し入れた。
四役が同時に辞任を表明するのは極めて異例であり、党内の求心力低下を如実に示している。
■ 背景:参院選の敗北と国民の不満
7月の参院選で自民党は議席を大幅に減らし、与党の安定多数を失った。背景には、
- 物価高や景気停滞への対応の遅れ
- 防衛費増額に伴う増税議論への反発
- 政権運営に対する「閉塞感」
などが挙げられる。石破政権発足から約1年、国民の期待に応えられなかったとの見方が広がっている。
■ 石破総裁の対応と今後の焦点
石破総裁は現時点で辞任を否定し、「責任を果たす」と留任の意向を強調している。しかし、
- 党四役の一斉辞任で人事刷新は不可避
- 党内からは「総裁選を前倒しすべき」との声が高まる
- 野党は「政権交代の好機」と攻勢を強める
といった状況が重なり、政権運営は厳しさを増している。
■ 展望:政局はどう動くか
党四役の任期は9月末まで。後任人事が固まらなければ党運営は停滞しかねない。一方で、次期総裁候補として岸田文雄前首相や若手議員の名前も取り沙汰されており、総裁選前倒し論が現実味を帯びつつある。
石破政権が人事刷新によって立て直せるのか、それとも党内の権力闘争が一気に加速するのか。秋の政局は混迷の度を深めている。

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