【ドジャースを救う“令和の怪物”】佐々木朗希、ポストシーズン初登板で圧巻の11球 レッズを3者凡退でねじ伏せ、ワイルドカード突破に華

2025年10月2日(現地時間)、ロサンゼルスのドジャースタジアムが揺れた。

ナ・リーグ・ワイルドカードシリーズ第2戦、勝てば突破、負ければ第3戦に縺れる大一番で、ドジャースは序盤からリードを奪い、最終回を 8-4 で迎えた。スタンドに広がる期待と緊張の中、ブルペンゲートから現れたのは一人の日本人右腕―― 佐々木朗希 だった。

「令和の怪物」と称され、今年MLBデビューを果たした23歳。だが今シーズンは順風満帆ではなく、右肩の故障による離脱を経て、先発から救援への転向という転機を迎えていた。その佐々木に、大舞台で試合を締める大役が託されたのだ。

ドジャース、序盤から優位に立つも油断ならず

試合は序盤からドジャースが主導権を握った。1回裏、ムーキー・ベッツの二塁打を皮切りに2点を先制。続く3回には大谷翔平のタイムリーなどでさらに加点し、早くも5-0とリードを広げた。

しかし、負けられないレッズも中盤に反撃。5回表に3連打から一気に3点を返し、スタジアムには嫌な空気が漂う。6回にも1点を奪われ、5-4。追い上げられたドジャースだったが、7回にJD・マルティネスが貴重な2ランを放ち、再び突き放した。

スコアは8-4。勝利は手中にあるものの、短期決戦では最後の1イニングをどう締めるかが次戦以降の流れを左右する。そこでロバーツ監督が選んだのが、若き日本人エースだった。

圧巻の11球――佐々木朗希、初のポストシーズン登板

9回表、場内に大歓声が響く中、マウンドに立った佐々木は、いきなり100マイル(161キロ)のストレートを投げ込んだ。先頭打者のバットは空を切り、スタンドがどよめく。続けざまにスプリットを低めに沈め、あっさりと空振り三振を奪った。

二人目の打者に対しても直球とスプリットのコンビネーションで追い込み、最後は外角高めの速球で空振り三振。観客が総立ちになり、ドジャースベンチも沸いた。

そして三人目。初球の直球でカウントを取ると、最後は遊撃へのライナー。グラブに収まった瞬間、試合終了。わずか11球、被安打ゼロ、奪三振2――完璧すぎるポストシーズンデビューだった。

データで見る朗希の投球

  • 投球回:1回
  • 打者数:3人
  • 球数:11球(ストレート7球、スプリット4球)
  • 最速:100.3マイル(161.4km/h)
  • 奪三振:2
  • 失点:0

特筆すべきはスプリット。腰の高さから急激に落ちるボールは、現地実況をしていたアナウンサーに「魔法のように消えた」と言わしめた。速球とスプリットのコンビネーションは、相手打者にとってほとんど反応不可能なレベルだった。

監督・チームメイトの声

試合後、ロバーツ監督は佐々木を称賛した。

「彼は特別な投手だ。どんな場面でも自分を見失わない。シーズン中の逆境を乗り越えて、今日のような場面で結果を出せるのは本物の証だ」

大谷翔平も「同じ日本人として誇らしいし、頼もしい存在」と語り、ベッツは「彼がマウンドにいると安心できる」と笑顔を見せた。

米メディアの評価

現地メディアの反応も熱かった。

  • ESPN:「ドジャースのブルペンに待ち望まれた切り札が登場した」
  • ロサンゼルス・タイムズ:「朗希はもはや抑え投手の椅子を奪った」
  • MLB公式サイト:「ポストシーズン初登板とは思えない冷静さと圧倒的な球威」

今季途中まで不安定だったドジャース救援陣にとって、朗希の存在は救世主に近い意味を持っている。

背景と意義――先発から抑えへ

佐々木は日本プロ野球・ロッテ時代から160キロ超の速球と鋭いスプリットで注目を集め、MLB移籍1年目の今季も先発として順調に白星を重ねた。しかし、7月に右肩インピンジメントで離脱。シーズン終盤に戦線復帰した際、首脳陣は彼を救援として起用する決断を下した。

その結果、9月以降はリリーフで圧巻の成績を残し、今回のポストシーズンでクローザーを務めるに至った。日本人投手がポストシーズンの“最後の1イニング”を託されるのは極めて稀で、2013年の上原浩治(レッドソックス)以来の快挙と言える。

今後の展望――新たな守護神となるか

ワイルドカードシリーズを突破したドジャースは、次戦でブレーブスと対戦する。強力打線を相手に接戦必至の短期決戦が待ち受ける中、佐々木がどの場面で登板するのかが大きな焦点となる。

先発投手としての将来は依然期待される一方で、「クローザー・佐々木」という新たな姿に、チームもファンも熱狂している。

今季のドジャースが頂点に立てるかどうかは、令和の怪物の右腕にかかっている――。

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