北海道白老町を襲った観測史上最多の豪雨

6時間で327ミリ、町は冠水…避難指示・交通麻痺・農畜産被害も拡大

◆ 6時間で「1か月分」の雨

9月30日夜から10月1日にかけ、北海道白老町を中心に猛烈な雨が降り続きました。

白老町森野で観測された雨量は、わずか6時間で327ミリ。これは10月の平年雨量(約150ミリ)の2倍以上であり、観測史上最多を更新しました。

町内では「川が氾濫しそう」「家が浸水しそうだ」といった通報が相次ぎ、役場は355世帯・685人に避難指示を発令。住民の中には夜中に避難所へ向かわざるを得ない人もおり、不安の中での一夜となりました。

◆ 避難所に駆け込む人々

白老町中心部の避難所には、高齢者を中心に数十人が身を寄せました。

70代の男性は「床下まで水が来て、あと少しで家に入るところだった。50年以上ここに住んでいるが、こんなのは初めて」と語ります。

また、幼い子どもを連れて避難した女性は「夜中に外へ出るのは怖かったけど、役場の放送が『すぐ避難を』と繰り返していて決心した。避難所に来て正解だった」と安堵の表情を見せました。

◆ 広がる被害、交通も麻痺

今回の豪雨は住居だけでなく、町の基幹産業である農畜産にも影響を与えています。牧場の厩舎にまで水が流れ込み、馬や牛が浸水被害に遭うケースも確認されています。

交通インフラも麻痺しました。国道36号線では一部区間で通行止め。JR室蘭線では糸井~東室蘭間が運転見合わせとなり、特急を含む82本が運休。10月2日も一部列車の運休が決まっており、通勤・通学や物流に大きな影響が続いています。

◆ 気象台「これまでにない危険」

札幌管区気象台によると、日本海から暖かく湿った空気が流れ込み、低気圧と合わさったことで積乱雲が次々と発生。白老町付近に集中して流れ込む「線状降水帯」に近い現象が起きたと見られています。

「今回の豪雨は『これまでに経験のない大雨災害』に該当する可能性がある」と気象台は説明。地球温暖化に伴い、日本列島周辺の海面水温が高止まりしていることが、局地的な豪雨を頻発させていると指摘する専門家もいます。

◆ 二次災害への警戒も

豪雨のピークは越えましたが、安心はできません。

地盤が大幅に緩んでおり、土砂災害のリスクは数日間続きます。また、河川の増水や下水の逆流による浸水が今後も発生する恐れがあります。

専門家は「避難指示が解除されても、すぐに自宅へ戻るのは危険。再び雨が降れば一気に崩れる可能性がある」と注意を呼びかけています。

◆ 町民の生活を直撃

白老町は、北海道の中でも観光や農業が盛んな地域です。今回の冠水により、観光施設の休業や農畜産の損失が広がれば、地域経済への影響も避けられません。

実際、町内の旅館経営者は「予約が一気にキャンセルされた。安全のため仕方ないが、これが長引けば経営に打撃になる」と話しています。

◆ 読者にできる備え

今回の災害は「どこでも起こり得る」ことを示しました。

  • 避難所や避難経路を日頃から確認
  • ハザードマップを見て自宅の危険度を把握
  • 非常用持ち出し袋を常に準備
  • 浸水後の片付けでは感電・感染症に注意

こうした備えが「いざ」という時に命を守ります。

◆ まとめ

北海道白老町を襲った327ミリの豪雨は、「観測史上最多」という言葉以上の意味を持ちます。

それは、温暖化の進む時代に、どこでも極端な豪雨が起こり得るという現実を突きつけた災害でした。

「ただの記録的な雨」ではなく、「地域の暮らしを脅かす脅威」。

今回の豪雨はそのことを私たちに強く問いかけています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました